奄美大島の概要奄美大島は奄美群島の中で最大の島で、「大島」とも呼ばれています。南部には加計呂麻(かけろま)島、請(うけ)島、与路(よろ)島といった有人島があり、その周辺には4つの小さな無人島が点在しています。これらすべてを含めて奄美大島と総称されます。北緯28度、東経129度に位置し、鹿児島市から約380km、沖縄本島から約300km離れた場所にあります。奄美大島の面積は約712㎢、周囲は約460kmで、南北に約80kmにわたります。沖縄本島、佐渡島に次いで日本で3番目に大きな島で、東京23区よりも広大です。加計呂麻島は、大島海峡を挟んで奄美大島の南岸と向かい合っています。複雑に入り組んだ海岸線を持ち、周囲は約147km、面積は約77㎢の細長い島です。動植物の多様性が認められ、2021年に徳之島、沖縄本島北部、西表島とともに世界自然遺産に登録されました。これらの島々は、太古の昔に中国大陸から切り離され、地殻変動によって山が沈降して形成されたと考えられています。そのため、中国南西部にも生息する猛毒のハブが存在する島々でもあります。北部にはサトウキビ畑が広がるなだらかな平地が多く見られますが、南部に向かうにつれて山が深くなります。奄美大島の最高峰は島の西部に位置する湯湾岳(694m)で、その周辺の山々は亜熱帯の常緑広葉樹の森に覆われています。特別天然記念物であるアマミノクロウサギをはじめ、沖縄ではすでに絶滅したリュウキュウアユなど、世界的にも希少な生き物が生息しています。奄美大島の気候気候は亜熱帯海洋性気候で、暖かい海に囲まれているため温暖多湿です。平均気温は23℃で、年間を通じて降雨量が多く、平均湿度も76%と高めです。曇り時々雨のち晴れや晴れ時々曇りといったように、一日の中でも天気が目まぐるしく変わるのが特徴です。年間日照時間は1,374時間と、全国的にも少ない傾向にあります。冬は晴天の日が少なく、太陽を拝める機会も限られます。気温は15℃前後ですが、北西の風が吹くと体感温度が下がり、実際の気温よりも寒く感じられます。ただし、湿度は高く、肌が乾燥することもありませんが、洗濯物も乾く気配がない状態です。1月下旬には緋寒桜(ひかんざくら)が咲き始め、タンカンの収穫が最盛期を迎える頃には、徐々に春の訪れを感じられるようになります。本土とは異なり桜吹雪は見られませんが、3月下旬には蛍光色のように鮮やかな新緑が目にまぶしいほど広がります。梅雨入りはゴールデンウィークの時期に重なることが多く、梅雨の間は驚くほどの高温多湿となり、虫やカビとの戦いが始まります。6月下旬から7月上旬にかけて梅雨明けを迎えますが、気象庁の発表を待たずとも、体感でその訪れを感じることができます。空は一気に晴れ渡り、非常に強い日差しが降り注ぎますが、最高気温は32℃程度と、東京よりも涼しく感じられます。ただし、台風の当たり年には、毎週のように台風が通過することもあります。長い夏が終わるのは10月頃で、紅葉は見られません。季節風は南風から北風へと数日おきに変わり、寒暖差が感じられるようになります。冬の訪れは12月中旬頃です。奄美大島の文化郷土料理では、鶏飯や油そうめん、豚骨と野菜の煮物であるワンホネが有名です。お正月やお祝いの時には、「三献(さんごん)」と言ってお刺身と一緒に必ず「赤椀」(昆布とかつおだしのお吸い物)「黒椀」(鶏の吸い物)の2種類が供されます。行事の大半は旧暦で行われ、潮の満ち引き、月の満ち欠けが生活と密着しています。日本語とは思えない島の方言で繰り広げられる唄や踊りは、集落行事など日常生活の中で生き続けています。方言は集落によっても微妙に違い、北部と南部では同じ言葉とは思えないほどです。奄美大島の人口(2025年2月1日現在)奄美大島には、奄美市(あまみし)、龍郷町(たつごうちょう)、大和村(やまとそん)、宇検村(うけんそん)、瀬戸内町(せとうちちょう)の5市町村の中に約200集落があり、総人口は約5.7万人です。総面積(㎢)世帯数人口(人)人口密度(人/㎢)高齢化率奄美市30823,35740,22313135%うち名瀬地区13019,57033,99326333%うち住用地区1187151,073953%うち笠利地区603,0725,2178743%瀬戸内町2404,2378,0623440%うち加計呂麻島137701968757%うち請島135579657%うち与路島93253634%龍郷町823,2035,9977334%宇検村1039661,6001647%大和村※2/28現在888301,3831643%奄美大島の主な産業奄美大島の主な産業は、建設業、農業、観光業、漁業、黒糖焼酎の製造、そして伝統工芸である大島紬です。特に、島の中心市街地である名瀬では、医療・福祉、卸売・小売業、建設業、宿泊・サービス業といった第3次産業に従事する人が多く見られます。建設業瀬戸内町、龍郷町、大和村では基幹産業として位置づけられています。特に、台風の多発地域ならではの復興工事などの需要が高く、現在は住宅需要の増加に伴う人手不足が深刻な課題となっています。農業・水産業農業は、奄美市笠利、奄美市住用、加計呂麻島、大和村を中心に、サトウキビ、サツマイモ、タンカン、パッションフルーツといった果実の栽培が盛んに行われています。水産業は、宇検村を中心にクルマエビ、真珠、クロマグロ、モズク、タイ、カンパチの養殖が盛んです。特に有名な近大マグロは、瀬戸内町の大島海峡で育てられています。農業と水産業においては、5市町村が後継者育成に取り組んでおり、持続可能な産業発展を目指しています。観光業瀬戸内町、奄美市、龍郷町では観光業が特に発展しており、宿泊施設や飲食店のほか、ダイビングなどのマリンレジャーやネイチャーガイドといったアクティビティも充実しています。製造業製造業では、黒糖焼酎、伝統工芸品である本場奄美大島紬、および製糖業が主要な産業です。IT分野IT分野の人材育成に向けた取り組みも奄美市で進められており、新たな産業振興が期待されています。各自治体の就労支援等はこちら →>> 奄美大島・加計呂麻島・請島・与路島のその他の情報を探す