奄美大島の集落の伝統行事のほとんどが旧暦で行われます。主要な伝統行事は農閑期と収穫後の時期に集中しますが、年によって開催日程が替わり、さらに日程は直前に決まることが多いです。
旧暦の1日と15日と月2回ペースでお墓参りをする奄美大島の人々は、お盆も当然、旧暦で行います。お盆の時期には、普段は島を離れている多くの人々も島に戻り、盛大に送り盆をします。
夏祭りは市町村単位で行われます。夏の間は、ほぼ毎週末、島のどこかで花火が上がっています。
集落で一番のお祭りは豊年祭で、北部から名瀬にかけては「種おろし」、南部は「豊年祭」と呼び名が地域によって異なります。豊年祭以外にもたくさんの伝統行事が秋に行われます。行事への参加は必須ではありませんが、集落内でのコミュニケーションを円滑にする役目も担っているので、積極的に参加されることをお勧めします。
スポーツ行事も盛んで、冬~春は「マラソン」や「ウォーキング」、夏は「船こぎ」、秋は「運動会」と一年中、体を動かす行事があります。集落内の行事より集落対抗、市町村対抗など、集落の結束を高めるスポーツ行事の方が多いです。
行事ではありませんが、3月下旬に転勤する学校の先生や卒業で島を離れる生徒を見送る出発式が港や空港で盛大に行われます。
1月
- 正月の年祝(としいわい)(集落ごと)
おせち料理ではなく、餅入りの吸い物の「赤椀」、鶏肉もしくは豚肉の吸い物の「黒椀」、「刺身」の三つの料理の「三献」(さんごん)で正月をお祝いします。
三献はお正月だけでなく、お祝いには必ず提供されます。 - セックノヨエ・フナヨエ(大和村の各戸)
大工、漁師の家での正月のお祝いです。 - ナンカンセック(大和村の主に国直~大和浜)
数え年7歳になる子どもが親類の家を回り、七草雑炊をもらう習わしです。 - 紬の日(奄美市)
1月5日は「紬の日」で、昭和53年に本場奄美大島紬の振興による豊かなまちづくりを推進するために制定。さまざまなイベントを開催します。 - 二十歳のつどい(市町村ごと)
年末年始の帰省に合わせて式も行います。
2022年は1/3か1/4に開催でした。
奄美大島では、成人式に本場大島紬を着用する成人が多いです。 - ナリモチ(奄美大島北部の各戸)
新暦1/14に各家庭で色のついた餅をブブ木(リュウキュウエノキ)の小枝の先に刺して飾り、 家の片隅や仏壇、お墓などに供えて家内安全、豊作を祈願します。
鹿児島からの新来の行事で、奄美大島の北部~名瀬で飾りますが、南部には伝わらなかったようです。 - 駅伝競走大会(瀬戸内町)
- まほろば大和ウォーキング大会(大和村)
満開の緋寒桜を眺めながら、国立公園の中を歩きます。
農林水産物の販売や豪華抽選会もあり、村民外でも参加できます。
2月
- 節田マンカイ(奄美市笠利町節田集落)
節田集落だけで行われる旧暦正月の踊り行事。
マンカイとは本来神を「招く」神事ですが、節田マンカイは男女の出会いの場であったとされています。 - 三太郎峠歩こう会(奄美市)
- 町民フェア(龍郷町)
- 完走歩大会(宇検村)
3月
- 宮古崎つつじウォーク(大和村国直集落)
- 卒業式(各校区)
- 出発式(各校区)
校区内で転勤する先生を生徒や父兄、集落民が見送ります。 - サンガツサンチ
旧暦3/3に行われる各家庭で行われる行事で、サンガツセックとも言います。
初節句を迎える乳児を海水につけて無病息災を願います。
4月
- 入学式(各校区)
- 先生歓迎会(各校区)
5月
- 端午一心会(宇検村田検集落)
初節句を迎えた新生児のお祝い。
6月
- ゴガツセック(大和村)
旧暦5/5に行われる端午の節句。大和村では魔除けのために軒先にヒキショーブ(菖蒲)とフツィ(よもぎ)を吊します。 - すももフェスタ(大和村)
大和村のすももは「花螺李(カラリ)」という台湾原産の品種で、この品種では日本一の生産量を誇ります。 - 浜おれ(各集落)
旧暦の5月中旬に浜で行われます。
稲穂につく害虫を取って、海や川に投げる「虫遊び」の名残。
今は、昼間に船こぎ競争をし、夜は宴会が行われます。
7月
- 奄美シーカヤックマラソン in 加計呂麻(瀬戸内町)
- 龍郷ふるさと祭(龍郷町)
8月
- 奄美まつり(奄美市名瀬)
- 七夕(各戸)
旧暦7/7から七夕飾りを軒先や玄関口に飾ります。
1週間後のお盆のときに、七夕飾りを目指してご先祖様が降りてくると言われているため、なるべく背の高い竹に長くたなびく飾りを付けます。 - お盆
旧暦7/13が迎え盆、7/15が送り盆になります。
迎え盆の当日は午前中にお墓までお迎えに行き、提灯を吊るし、送り盆まで毎食、お盆料理を備えます。
お箸はショロバシ(メドハギ) の木で作ります。
送り盆は夕方から夜にかけて提灯を持ってお墓に送りに行きます。 - みなと祭り(瀬戸内町)
- あやまる祭り(奄美市笠利)
- 三太郎まつり(奄美市住用)
- ひらとみ祭り(大和村)
- 豊年祭(宇検村の各集落)
- 対馬丸慰霊祭(宇検村宇検集落)
- 八月踊り(一部集落を除く奄美市笠利地区)
8月中旬から9月中旬に、年に一度のお祭りとして集落の班ごとに行っています。五穀豊穣を祈るお祭りで、「ヤサガシ」と言ってたくさんのご馳走を持ち寄り2日も3日も踊り続けます。「アラセツ(新節)」は旧暦八月最初の丙(ひのえ)の日、「シバサシ(柴挿)」はアラセツから七日目の壬(みずのえ)の日、「ドンガ」はシバサシ後の甲子(きのえね)の日にちなんで行われることが多いようです。
9月
- 秋名アラセツ行事(龍郷町秋名集落)
秋名集落で行われる五穀豊穣祈願の伝統行事。
国の重要無形民俗文化財。
夜明け開催の「ショチョガマ」と、夕方の満潮に合わせて開催する「平瀬マンカイ」の2つがある。 - アラセツ(大和村の一部集落)
火の神を祀り、火事がないように祈願する行事で、旧暦八月最初の丙(ひのえ)に行われます。
家庭によっては床の間の前にテーブルを置き、位牌を仏壇から下ろして祭壇を作ったりします。 - キトバレ踊り(大和村思勝集落)
思勝集落で行われる五穀豊穣の伝統行事。
青年たちがキトバレ旗を手に勢いよく周回する「花走り」は思勝集落独特のもの。 - シバサシ(大和村の一部集落)
アラセツから七日目の壬(みずのえ)に行われ、ススキを家の軒先に挿すことからこの名称があります。
早朝から親戚中の墓をまわり、シーバ(イタジイの葉)を挿して拝む風習もあります。
ヤーマワリで八月踊りを踊りますが、集落を二つに区切りアラセツとシバサシで踊り分ける集落もあります。
10月
- 十五夜豊年祭(大和村の一部集落)
一年の農作物の収穫を祝うと共に集落の無病息災に感謝する行事で、奉納相撲や余興、八月踊りで楽しむ集落最大のイベントです。
津名久、大和浜、大棚、大金久、戸円、今里集落で行われます。 - 油井豊年祭(瀬戸内町油井集落)
旧暦8月15日に行われる行事で、民俗芸能「油井の豊年踊り」は県の無形民俗文化財に指定されています。 - 招魂祭相撲大会(奄美市)
- 諸鈍シバヤ(瀬戸内町、加計呂麻島諸鈍集落)
加計呂麻島の諸鈍集落で旧暦9/9に行われる行事。
踊りと村芝居が主で、 国の重要無形民俗文化財。 - クガツクンチ豊年祭(大和村の一部集落)
クガツクンチを行うのは、国直、湯湾釜、思勝、名音の4集落のみ。
旧暦の9月9日が平日の場合は、近くの日曜日に行われる。 - 種おろし(奄美大島北部の各集落)
10月下旬~11月上旬に開催する五穀豊穣の伝統行事。
八月踊りと手料理の会食が主。 開催日は直前に決まります。 - 小学校の運動会(各校区)
過疎小学校では校区内の集落民総出の運動会となります。
運動会後の反省会も盛んです。 - 運動会(各市町村)
自治体内の集落・地区対抗で行います。
運動好きの島民が多いので、大いに盛り上がります。
運動会後の反省会も盛んです。
11月
- 加計呂麻ハーフマラソン(瀬戸内町)
- 町駅伝競走大会(龍郷町)
- ムチムレ踊り(宇検村)
10月下旬~11月上旬に各集落で開催する五穀豊穣の伝統行事。
家から家へと踊り歩きながら、お菓子やお酒をもらってまわります。 - ムチモレ踊り(大和村湯湾釜集落)
湯湾釜集落で行われる火難除災としてモチをもらってまわる伝統行事。
12月
- ひらとみ朝市(大和村)
- 町ロードレース大会(龍郷町)