沖永良部島の概要沖永良部島は、北緯27度、東経128度付近に位置し、鹿児島市から南南西約550km、沖縄本島からは北へ約60km、与論島と徳之島の間に位置しています。島の面積は94㎢、周囲56kmで、東西20km、南北10kmと草履のような形をしており、最高標高は240m(知名町の大山)と、全体的に平坦な地形が特徴です。島内各所には、石灰岩が浸食されて形成されたカルスト地形が広がり、白砂の海岸は少なく、代わりに石灰岩の断崖や磯が多く見られます。この特有の地形が生んだ自然現象として、潮を吹き上げるフーチャや、奄美十景の一つに数えられる田皆(たみな)岬の壮大な景観が知られています。また、地下には観光名所として有名な昇竜洞をはじめ、約300近い鍾乳洞が存在すると言われています。洞内を流れる地下水は暗川(くらごう)と呼ばれ、古くから生活用水として利用されており、各所に水汲み場が設けられています。近年では、これらの鍾乳洞を探検するケイビングというアクティビティが人気を集めています。奄美大島や徳之島が山の沈降によって形成されたのに対し、沖永良部島は海底から隆起した島であるため、ハブやアマミノクロウサギといった特有の動物は生息していません。国頭ガジュマル新日本銘木百選にも選ばれたガジュマル沖永良部島の気候気候は亜熱帯海洋性で、年間平均気温は24℃と、1年を通して温暖な気候です。年間降水量は全国平均より多いものの、その主な要因は台風や梅雨によるもので、奄美大島や徳之島に比べると晴天の日が多くなっています。冬から春への移り変わりは、桜吹雪のような季節感のある現象は見られませんが、南風が吹き始めるとともに気温が上昇し、急に初夏のような陽気になります。梅雨入りはゴールデンウィーク前後が一般的で、後半には激しい雨が続きます。6月下旬から7月上旬には梅雨明けを迎え、気象庁の発表を待たずとも、体感でその変化を感じられるでしょう。カラッと晴れ、強烈な日差しが降り注ぎますが、東京より涼しいかもしれません。台風の当たり年には、毎週のように台風が襲来することもあります。長い夏は10月ごろまで続き、紅葉は見られません。季節風が南風から北風へと数日おきに変わり、寒暖差が出てきます。冬の到来は12月中旬頃です。冬場でも最低気温は14℃と比較的暖かいものの、天気の悪い日が多く、北風が強く吹くと体感温度が下がり、寒さを感じることもあります。沖永良部島の文化沖縄に近いこともあり、慣習や文化は琉球の影響を強く受けています。奄美大島や徳之島、喜界島で親しまれている島唄や八月踊りは、沖永良部島では見られません。島民は琉球音階の民謡を歌う文化が根付いています。また、奄美群島の他の島々では旧暦で行事が行われるのに対し、沖永良部島では新暦で行われます。農業の島であることから、行事の回数も少なく、農繁期を避ける形で開催されるのが特徴です。郷土料理には、ヒルアギ(島豆腐の炒め物)やチャンプルー、きくらげ料理、特産の「春のささやき」じゃがいもを使った料理、ムジ(田芋の茎)料理、冬瓜やたけのこを使った料理が知られています。島内の飲食店でも、これらの郷土料理を提供する店があり、地元の味を気軽に楽しむことができます。世之主の墓15世紀の島主世之主が安置されていると伝わるこの墓沖永良部島の人口(2025年2月1日現在)知名(ちな)町、和泊(わどまり)町の2町があり、両町で42の集落に約1.1万人が暮らしています。総面積(㎢)世帯数人口(人)人口密度(人/㎢)高齢化率(%)和泊町403,2455,96414938.6%知名町532,9725,38010240.3%合計946,21711,344121ー沖永良部島の主な産業両町とも農業が盛んで、住込みアルバイトや社員を多数雇用する大規模な専業農家から、家族経営の兼業農家まで、多くの人々が農業に従事しています。主要な栽培品目には、サトウキビ、ジャガイモ、エラブユリ、菊などがあり、特にキクラゲは国内有数の生産量を誇ります。畜産も盛んで、主に子牛を出荷しています。観光業では、宿泊施設や飲食店のほか、ケイビングやダイビングなどのアクティビティが楽しめます。製造業では、サトウキビを原料に純黒糖や製糖、また黒糖焼酎も生産されています。>> 沖永良部島のその他の情報を探す