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離島のローカル・コミュニティの原点、“集落”で暮らすためのポイントをまとめてみました。
集落という言葉に馴染みがない方もいらっしゃると思いますが、全国に集落はあります。ある一定の場所で数軒が暮らしていると「ムラ」という共同体が出来上がってきます。その「ムラ」単位が奄美群島では「シマ」であり、集落、字(あざ)と言われています 同じ奄美群島でも、島によって集落の結びつきが強いところとそうでないところがあります。
奄美大島や徳之島は自治体よりも集落の結束の方が強いかもしれません。
与論島は集落の結びつきもありますが、小さな島なのでいろいろなことがひとつの大きなコミュニティで行われます。

集落の主な組織

集落運営の組織名称は島によって異なりますが、婦人会、子ども会、青年団、壮年団、老人クラブの組織があります。
自治会長に当たる区長(小組合長とも呼ばれる)と各組織の代表が集まり、日々の集落運営や行事日程などを討議し、集落民全員が集まる総会を1回~数回/年、開催するところが多いです。

【徳之島のとある集落の運営例】

  •  区長
  •  会計
  •  監事
  •  老人クラブ会長
  •  壮年団団長
  •  婦人会会長
  •  青年団団長
  •  消防団代表
  •  民生委員
  •  子供育成会長
  •  班長
     ※集落内をグループ割
  •  班役員
     ※大きな集落は、集落内を幾つかの小自治グループに分けて運営しています。

島の市街地では集落組織活動も希薄ですが、田舎での集落組織は自治に関わる部分も多いので活動も盛んです。参加は強制ではありませんが、よほどの理由がない限り「入らない」とは言い辛いです。

主な集落行事

徳之島は奄美群島の真ん中に位置しており、薩摩と琉球の両方から影響を受けています。3町に大小76の集落があり、 全島で盛大に行われる闘牛大会から集落だけで行われる行事まで、様々な行事があります

年に数回の集落行事があり、集落行事を通して集落民同士お互いに助け合う「結の精神」を育んでいます。 ただし、行事に対する姿勢や開催数、集落民の参加意欲は、集落によってかなり違います。 毎月1回あるクリーン作戦の日(集落清掃)は、参加するのが当たり前の集落から、 人があまり集まらない集落まで様々です。過疎であればあるほど人手不足なので、よほどの理由がない限り準備や作業は頼りにされます。 児童数の少ない校区の集落では入学式などの学校行事も集落行事のひとつになっていて、 幼児からお年寄りまで集落総出で行事を盛り上げています。「集落行事や近所付き合いが苦手」と思う方は、最初に集落の状況を確認してから移住場所を決めることをお勧めします。

集落行事の他に、町で行う行事・イベントがあります。 詳しくは 奄美の暮らし > 行事・イベント> 徳之島をご覧ください。

徳之島のとある集落の主な行事
※小学校行事は、校区単位。
1月 年始式、集落駅伝、クリーン作戦の日(集落清掃のこと)
2月 クリーン作戦の日
3月 卒業祝い、教職員送別会、出発式、教職員引越手伝い、クリーン作戦の日
4月 入学祝い、教職員歓迎会、老人クラブ総会、クリーン作戦の日
5月 婦人会総会、バレーボール大会、クリーン作戦の日
6月 クリーン作戦の日
7月 集落総会、クリーン作戦の日
8月 浜下り※1、盆踊り、ムチタボリ※2、クリーン作戦の日
9月 敬老のお祝い、クリーン作戦の日
10月 小学校の運動会、種おろし※3、クリーン作戦の日
11月 グランドゴルフ大会、地区対抗駅伝大会、クリーン作戦の日
12月 常会単位の忘年会、クリーン作戦の日

※1浜下り:
旧暦の5月中旬に浜で行われます。稲穂につく害虫を取って、海や川に投げる「虫遊び」の名残。今は、昼間に船こぎ競争をし、夜は宴会が行われます。
※2ムチタボリ:
ムチは「餅」、タボリは「給れ」で、その起源ははっきりしませんが稲作文化と深くかかわっており、お盆の時期に開催される数百年続いている行事です。
※3種おろし:
各集落で10月下旬~11月上旬に開催する五穀豊穣の伝統行事。八月踊りと手料理の会食が主。豊年祭として複数の行事をまとめた集落もある。


ムチタボリ

集落ライフでの必要出費

島暮らしと都会の生活で大きく異なるのは、集落内での付き合いの濃さと付き合いに伴う出費でしょう。
島では集落内での人付き合いは濃く、自治会費も高いです。自治会費は区費と呼びます。集落費以外にも集落への寄付や冠婚葬祭費などの出費があります。

区費

集落単位で徴収し、主に集落公民館の光熱費や集落行事に必要な経費などに充てられます。使途、金額や集金のタイミングは、同じ自治体でも集落によって違います。

区費の金額の高さに住み始めてからびっくりする移住者が多いので、住まいを決める時に集落の区長に区費について予め確認することをお勧めします。

<区費(年間)の内訳>徳之島のとある集落の場合

集落区費 ¥3,500
赤十字 ¥500
赤い羽根共同募金 ¥500
緑の羽根共同募金 ¥500
社協会費 ¥500
合計 ¥5,500

<区費の状況>

徳之島町 亀津市街地は0円のところが多い。その他の地域では、2,000円~3,000円前後/世帯を月1回集める集落が多い。 集落によっては年払いもある。
上記の以外に、赤十字、赤い羽根共同募金、緑の羽根共同募金、社協会費の集金(年払い)がある。
集落の婦人会などの会費は、区費とは別途に徴収。
天城町 3,000円~5,000円前後(世帯/年)を集める集落が多い。上記の以外に、赤十字、 赤い羽根共同募金、緑の羽根共同募金、社協会費などの集金が年1回ある。
集落の老人会や婦人会などの会費は、区費とは別途に徴収する場合もある。
伊仙町 3,000円~5000円前後を年1回集める集落が多い。
上記の以外に、赤十字、赤い羽根共同募金、緑の羽根共同募金、社協会費の集金(年払い)がある。赤十字や赤い羽根・ 緑の羽募金を込みにして集金する集落は、区費が高め。
集落の婦人会などの会費は、区費とは別途に徴収。

寄付

寄付は行事ごとに集められますが、主として行事参加者の飲食代に充当されます。ただし、 豊年祭では集落への寄付として集落運営費を集めます。区費と違い、寄付は金額が決まっているわけではありません。 集金方法、相場金額、使途も、集落で異なります。寄付=任意ではなく、寄付することは決まっているけれど、 金額が自由だと思った方がよいでしょう。

<寄付の慣習>

徳之島町 豊年祭開催時に寄付を集める集落が多い。金額は1,000円~1万円前後/世帯で、 祭りの出欠にかかわらず集落民は払う。使途は集落の運営費等に充当されることが多い。集落によっては、 区費は集めず寄付のみで運営費を賄っている。敬老会など、豊年祭以外の行事の際も寄付は必要。 参加者の飲食費や主賓へのお祝いなどに充てられる。
天城町 お祝い行事(豊年祭等)の開催時に寄付(現金・物品)を行う人もいる。盆踊りなどの青年団主催の行事については、 寄付を募る場合もある。使途は集落運営費や行事運営費等に充当される。
伊仙町 豊年祭開催時に寄付を集める集落が多い。金額は1,000円~1万円前後/世帯で、祭りの出欠にかかわらず集落民は払う。 使途は集落の運営費等に充当されることが多い。集落によっては、区費は集めず寄付のみで運営費を賄っている。 敬老会など、豊年祭以外の行事の際も寄付は必要。参加者の飲食費や主賓へのお祝いなどに充てられる。

冠婚葬祭費

移住者の多くが、「冠婚葬祭費の出費が多い」と言います。
1回あたりの負担は都会よりも少ないですが、祝儀・不祝儀をお渡しする相手が親族、親しい友人だけではないので頻度が多くなります。

結婚・葬儀に加え、棟上げ、新築祝いなど、近隣住民であればそれほど親しくなくても自宅で行われるお祝いに参加します。 お祝い・弔いを集落民総出でお手伝いしたり、小学校の合同入学祝など集落民一同が介してお祝いしたりします。ただし、島や集落によって、付き合いの濃さはかなりバラつきがあります。友人とは呼ばない間柄であっても、お祝い・弔いをするのが当たり前だと思ったほうがいいところとそうでないところがあります。

成人式、小学校入学、中学卒業、高校卒業などの当日は、多くの人が掛け持ちでお祝いに駆け付ける姿を見ます。 お祝いが重なる時期は家計的に負担も大きくなりがちですが、おめでたい必要な出費と割り切りましょう。

集落によって冠婚葬祭の風習や相場が違うので、詳細は地元住民に確かめましょう。

結婚祝い 式に出席する場合は5,000円程度(引き出物なしが多い)、ご祝儀のみの場合は2,000円~3,000円程度。
その他の祝儀 お祝いに参加する場合は、焼酎2本程度か2,000円~3,000円程度。
合同祝いやそれほど近しくない場合は、1,000円~2,000円程度。
不祝儀 市街地の葬儀に参列する場合は、3,000円~5,000円程度。
その他の場合は2,000円~3,000円程度。
集落民一括で不祝儀を渡したり、返礼品なしの協定があったりする。

徳之島の集落

奄美群島の真ん中にある徳之島は、総面積248㎢、外周84㎞、奄美大島とともに世界自然遺産に登録されている自然豊かな島です。 徳之島町、天城町、伊仙町の3つの町に、76の集落、1.1万世帯、2.2万人が暮らしています。 ㎢あたりの人口は87人。長寿と子宝の島です。

徳之島町

徳之島町は島の東側に位置しており、徳之島一の市街地亀津・亀徳地区があり、海の玄関口にもなっています。 総面積105㎢に30の集落があり、約4.7千世帯、約9.8千人が住んでいます。㎢あたりの人口は94人ですが、 人口は市街地に集中しており、町の北部は静かな暮らしと自然が残っています。
徳之島町の「集落」

徳之島町map
太平洋側の集落 手々(てて)、金見(かなみ)、山里(さんさと)、畦(あぜ)、港川、内千川(うちかわ)、前川、新村、上花徳(うえけどく)、 池間(いけま)、反川(たんかわ)、大当(おおあたり)、花時名(けどきな)、下久志(しもくし)、 井之川(いのかわ)、神之嶺(かみのみね)、諸田(しょだ)、徳和瀬(とくわせ)、亀徳(かめとく)、 南区(亀津)、中区(亀津)、北区(亀津)、東区(亀津)、南原、
内陸の集落 轟木(とどろき)、旭ヶ丘(あさひがおか)、尾母(おも)、大原1、大原2、白井

天城町

天城町には徳之島空港と平土野港があり島外へのアクセスも充実していますが、自然の宝庫でもあります。 徳之島の西側にあり、北東から東南にかけて天城岳(533m)、三方通岳(500m)、美名田山(438m) など山々が連なっています。
総面積80㎢に14の集落があり、約3千世帯、5.5千人が暮らしています。㎢あたりの人口は69人。

徳之島天城町map
東シナ海側の集落 与名間(よなま)、松原西区(まつばらにしく)、前野(まえの)、 岡前(おかぜん)、浅間(あさま)、天城(あまぎ)、平土野(へとの)、兼久(かねく)、 大津川(おおつかわ)、瀬滝(せたき)、西阿木名(にしあぎな)
内陸の集落 松原上区(まつばらうえく)、当部(とうべ)、三京(みきょう)

伊仙町

伊仙町は日本一の長寿・子宝の町として有名です。
徳之島の南に位置し、丘陵地帯が広がっていて、農業・畜産業が盛んです。
総面積63㎢に31の集落があり、約3.5千世帯、6.2千人が暮らしています。㎢あたりの人口は98人。

太平洋側の集落 喜念(きねん)、佐弁(さべん)、東目手久(ひがしめてぐ)、西目手久(にしめてぐ)、東面縄(ひがしおもなわ)、 古里(ふるさと)、下検福(しもけんぶく)、東伊仙東、東伊仙西、中伊仙東、中伊仙西、西伊仙東、西伊仙西、 阿三(あさん)、鹿浦(しかうら)、西阿権(にしあごん)、木之香(きのこ)、西犬田布(にしいぬたぶ)、 崎原(さきばる)、小島(こじま)
内陸の集落 上面縄東(うえおもなわひがし)、上面縄西(うえおもなわにし)、上検福(うえけんぶく)、御前堂(ごぜんどう)、馬根(ばね)、 東阿権(ひがしあごん)、中山、八重竿(やえぞう)、東犬田布(ひがしいぬたぶ)、糸木名(いときな)、河地(かわち)

詳しい集落情報はこちらをご覧ください。

徳之島伊仙町map

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